漢方薬として使われる蝉(セミ)

セミの抜け殻が漢方薬になるという話を知っていますか?

これは都市伝説ではありません。セミの抜け殻は蝉退(せんたい)という漢方薬になります。

漢方の世界ではあらゆるものが薬になると言っても過言ではありません。例えばトンボも漢方薬になりますが実際にはほとんど使われません。

しかし蝉退は有名無実の薬とは違います。非常に使用頻度が高い薬なのです。

日本でも使われる消風散にもブレンドされています。

蝉退の功能

蝉退は解表薬の一種です。基本的な効能は疏散風熱です。

これでは薬膳(漢方)理論を勉強したことがある人にしかわからないですね。

解表薬は俗にいうカゼ薬です。ただし薬膳(漢方)理論によるとカゼにはいろいろなタイプがあるので、そのタイプに応じた薬の使い分けがあります。

蝉退は風熱(ふうねつ)というタイプのカゼ(風熱感冒)に適した薬です。具体的には悪寒(おかん)がなく発熱やのどの炎症が強い場合に使います。

中国ではいわゆるアレルギーの治療にもよく使われます。

アレルギーの症状は薬膳(漢方)理論で「風」と呼ばれるタイプの症状に当てはまることが多く、蝉退は「風」症状を緩和する効能があるからです。

中国でもアレルギーの患者さんは非常に多いので蝉退の使用頻度も高くなります。

実際に処方した経験から言えば蝉退の効き目には大きな個人差があります。非常によく効く場合もあれば全くと言ってよいほど効果がない場合もあります。

特に慢性的なアトピーでは良い結果が出た記憶がありません。慢性という時点で解表薬の出る幕ではないのかもしれまぜん。

漢方を希望さる患者さんの中にはステロイドなどの西洋薬を忌避する人もいらっしゃいますが、私は痒みが強い場合には抗ヒスタミン剤やステロイドの併用を強く推奨します。

痒みで睡眠の質が低下するデメリットが大きすぎるからです。 このへんのことは『免疫力があなたを殺す』に詳しく書きましたのでご覧ください。

ここまではセミのカラの話でしたがセミ本体はどうでしょうか?

食材としての蝉

セミの幼虫が木に登って来て脱皮すると成虫になります。その脱皮直前のセミを蝉猴または蝉亀と言います。

蝉猴は薬というよりも食材として使われます。

粥やスープの具材にも使われることがありますが、通常は炒め物や揚げ物に使われます。

シンプルに炒めたり揚げたりする清炒蝉蛹、油炸蝉蛹、油煎金蝉などが定番料理です。

セミの幼虫を油で揚げて塩を振るだけで食べられます。中国の農村では自分で採取したセミの幼虫を食べるようです。

ただしセミの幼虫は細菌に汚染されていることがあります。特に死んでしまうと幼虫の体内で病原菌が繁殖する危険性が高まります。

傷んだ蝉猴を食べて中毒するケースもあるので、自作するときは十分に注意してください。

民間療法的には蝉猴には「大補」の作用があるとされていますが、薬膳(漢方)理論的には補剤としての作用は特に認められていません。

蝉花

セミの幼虫に菌類が寄生してキノコが生えてくることがあります。冬虫夏草のセミ版ですね。

このようなキノコを蝉花(せんか)または大虫草と言います。

5世紀の漢方薬の加工についての専門書にはすでに蝉花が登場しています。

先ず採取した蝉花を陰干しにしてカラと土を取り除きます。それを1日かけて煮た後で乾燥させたものを薬として使ったようです。

蝉花にはのどの痛みや子供の夜泣きなどを改善する効果があります。

ただし珍しい薬なので全国的に使われているわけではありません。主要な産地は四川、江蘇、浙江、福建、安徽、雲南の一部地域です。

蝉花はレアな薬膳食材でもあります。

金蝉花土鳥湯、金蝉花神仙粥などのスープ状の料理に使われます。

食の話題と薬膳

薬膳は単なる「体に良い食事」ではありません。薬膳はライフスタイルです。

楽しくなければ薬膳ではありません。食の話題に関心をもち、食の話題を楽しむのも薬膳の一部です。

このウェブサイトが提供する食の話題を皆様の楽しい会話のきっかけとしてご利用ください。

薬膳は難しいものではありません。誰でも手軽に始めることができます。

このウェブサイト内に難しい理論の勉強を省略して薬膳を始めることができるようにするためのツールを設置しています。

サーマコンディション分析をご利用いただけば明日からでもご自宅で薬膳ライフを始められます。

このウェブサイトにログインすると食材のサーマルタイプや薬膳的性質を検索できるツール FoodNaVi をご利用いただけます。 FoodNaVi を使うとスマホからでも手軽に食材の性質を検索できます。

薬膳理論を勉強してみたい人はインナーバランス・トリートメントのテキストをご覧ください。

記事一覧に戻る

アクセスが多い記事

記事の執筆者紹介

著書、各種依頼、連絡方法についてもこちらをご覧ください。

贈答品としての高級漢方薬

高価な漢方薬は贈答品としても使われています。

漢方の中の牡丹と芍薬

牡丹と芍薬はどちらも漢方薬です。

薬膳と薬食両用中薬

中国では食用になる漢方薬がリストアップされています。

クズ餅のクズと葛根湯の葛根

葛根湯の中に入っている漢方薬「葛根」はクズ餅の「クズ」です。

漢方医学書の中の薬膳料理

医学書の中に料理のレシピが載っている。これが中国医学のオモシロい点です。

漢方薬の加工

漢方薬は加工の仕方によって効能や効き目が違うと言われています。

クチナシと薬膳

クチナシの実は薬膳に使われることもあります。

あなたの知らない漢方飲料の世界

知られざる漢方飲料の世界を垣間見る。

SPONSORED LINK

知識ゼロからの薬膳入門

薬膳の基本を知りたい人のための入門書です

InnerBalanceTreatment

サーマルタイプについての教科書です

読む漢方薬

漢方のウンチク本です

免疫力

漢方の「ちょうどよい」の思想を免疫に関して紹介しています

蠱毒

もうひとつの漢方の歴史です

お仕事で使う

飲食店、食品・飲料の販売店またはメーカーを経営されている方の中で、このウェブサイトにお店メニューや商品を掲載したいと思われる方はいらっしゃいませんか?

薬膳的な評価が可能な飲食物であれば、一般ユーザーとして自由に掲載してくださって結構です。